ヴァイオリンとヴァイオリン音楽



(参考メモ)(その3)
「ヴァイオリン」の各種の奏法について


(Mr。ビーハイブ楽師の話題メモ帳)

<跳ね弓>

 大阪音楽大学の参考資料である月刊情報誌の中に、先般亡くなった朝比奈隆さんの思い出話が載って いた。その関連記事に「跳ね弓」の話が以下のように語られていた。

 「はね弓」の件に関連して「スピッカート」という奏法があげられる。これは細かく弓を 上下させて弦の上で弾ませる奏法である。思い出話の奏者は、朝比奈さん指揮の演奏会で、おそらく 手に力が入りすぎて弾んではいけないところで、はねてしまったのではないかと思う。 ただし「スピッカート」と指定されたところでは弓を弾ませなくてはならない。

   参考までに関連資料類からの追加内容も補充しておきます。
(関連資料例)(ディヴィド・ブルーム著・久合田緑訳「クァルテットの技法」(音楽之友社)(1990) 弦楽器奏法用語集より )

ヴァイオリン演奏技法名演奏技法内容
ボーイング(弓の使い方) 総ての基礎となる勉強であり、弓の持ち方、弦に対して真角に弾くことが必要であるが、最も重要な のは、柔軟な手首の返しであり、これの習得が非常に重要である。
ポジション移動 指を決められた場所に性格に移動する勉強であり、ファースト・ ポジションからサード・ ポジション、あるいはハイポジションへ瞬間的に移動する。かなりの訓練が必要である。
スピッカート(Spiccato) 通常、弓の中央かそれより元に近い部分で弾ませて弾く。はね弓をより高度に進化させた技の ひとつ。取得には多くの時間と労力が必要である。
きざみ極めて速く上下運動することが基本であり、一例を挙げると、J。STRAUSSの 「美しく青きドナウ」の導入部のヴァイオリン・パートがそれに該当する。
デタッシュ(Detache) 弓を弦から離さず一音一音弓を返す奏法
スタッカート(Staccato) 音と音を離して弾くこと。レガート(Legato)の対語。スピッカートとは異なり、弓を 弦から離さずに弾く。
アップボウ(Up−bow)上げ弓。弓を先から元の方向へ奏くこと。
ダウンボウ(Down−bow)下げ弓。弓を元から先の方向へ奏くこと。
ヴィブラート(Vibrato)弦を押さえながら指を振動させる。振幅と速さに よって変化がある。
開放弦左指で弦を押さえずに、弓またはピティカートで弾く。
グリッサンド(Glissando)一つの音から次の音へ、弦の上で指を滑らせ、 その移動過程の音を微かに聞こえさせる奏法。
コレ(Colle)スタッカートのように弓で弦をはっきり引っかける奏法。 ただし、弓を空中から弦に落として弾く。
スコルダトゥーラ(Scordatura) 演奏の困難な調や音型を容易にしたり、例外的な和音を得たり、音色を変化させるために 用いられる変則的な調弦法。
ソーティエ(Sautille)弓を弦の上で、素早く跳ねるように弾く。
ダブルストップ(Double−stop) 重音。二つの音を同時に弾くこと。
スタッカート(Staccato) 弓を弦から離さず、音と音を切り離して弾くこと。
ポルタート(Portato) 一つ一つ柔らかく区切る。スタッカートとレガートの中間奏法。
レガート(Legato)音から音へ柔らかにつないで弾く。
ハーモニクス(Harmonics) 倍音の原理を利用して得られる弦楽器の高音。弦を正確に分割して、その上を軽く押さえて、 弓で軽く弾く特殊な奏法。普通の音と違い非常に高く透明で、フルートのような音色で鳴る。 フラジオレット音とも言われる。
ピツィカート(Pizzicato)弦を指ではじく奏法。
フックド・ボーイング(Hooked bowing) 弓の方向を返すことなく、二つ以上の分離した音を一弓で弾く。
フラウタンド(Flautando) 弓を弦の上に軽く、素早く(通常は指板の近くで)動かし、フルートに似た音を出す奏法。
スルポンティチェロ(Sul ponticello) 駒の非常に近くを弓で弾く。
マルトレ(Martele)弓に弾力を付けながら、弦を強く押さえるようにして、 強く弾く。これを短く、強く、続けて弾く。

(追補)「バルトーク・ピチカート」について
 バルトーク・ピチカートとは、「音楽の友」誌よりの情報として提示された「この音何の音」と いう資料に載っている。
 弦を引っ張り上げて、離して、パチンと指板に強くぶつけるピチカート奏法の事で、彼の弦 チェレの中で使っているのがバルトーク・ピチカートとのこと。然しこの奏法はバルトーク以前 からあったもの。
 バルトーク・ピッチカートをする時は、弦を引っ張り上げるので、スクロールがしっかりと止まって いないと音が狂う恐れがある。また新しい弦の場合は弦をよく伸ばしておいて、少し引っ張り上げて パチンと言わせても、狂わない様にしておく必要がある。

(筆者コメント)  弦を新しく変えたときに、音が狂わないように、弦を先によく伸ばすためにおこなうが、 このピチカートをやるときは古い弦で、しかもスクロールがしっかりと止まっていないと、音が狂う 恐れがある。
                               (以    上)


平成15年11月28日(改訂)  ***編集責任・錦生如雪***


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